ローバ・ミッキーの「映画を通して、恋愛力アップを」
都会から田舎へ、危機を乗り越えた家族の物語 DVD『家族の日』
旅行会社を経営する君原信介(伊原剛志)は長男・好太郎(茂山虎真)が小学校でいじめにあったり、長女・絵里(中瀬優乃)が中学校でいじめをしていた中心的存在とわかったりしてショックを受けていた。
写真出典:映画 『家族の日』公式サイト
考え抜いた末、子どもたちを一度自然な環境でのびのびと育てようと、妻の喜美子(田中美里)を説き伏せ、会社を共同経営者に任せて、思い切って東京の新宿から岡山県の高梁市に移住することにした。
しかし都会との違いや山村で暮らすことの現実に戸惑ってしまう。一番驚いたのは引っ越して早々に「ターザン」の噂を耳にしたことだ。
君原家のすぐ前にある黒雲山に1人で住むターザン(岸部一徳)は、畑の野菜を盗んだり、鶏の生肉を食べたりする悪党らしい。だから山に近づかないよう注意される。
しかし興味を持った6歳の次男・真琴(茂山慶和)が内緒で黒雲山に入りターザンと遭遇する。無邪気で物怖じしない真琴はターザンに気に入られ「ケンチャンタ」という呪文を教わる。
真琴の影響を受けて、姉兄や村の悪がきたちがターザンと話したり水遊びしたりして親しくなる。そんなある日、真琴が行方不明になって……。
東京の繁華街・新宿から岡山県高梁市に移住してきた一家のひと夏を追ったお話。そのはじまりの言葉は信介の「もう、明日から学校に行かなくていい!」だった。そう言うのには理由があってのことだが、穏やかに分かりやすく描かれていた。
田舎の生活を満喫するだけではなく、家族、周りの住民、自然の中に当たり前にある太陽、星空、川、山も「重要な存在」であることに気付かせてくれる。子育て真っ最中の方に、家族揃ってご覧いただきたい作品。
今は田舎でも、家族一緒に暮らしていても、見ているものは小さな四角いスマホやパソコン。それに見ているものはバラバラ。
「自分」だけの世界から、居心地は最高!とまではいかないが、外の世界に目を向けるチャンスを作った君原家は、いろんな試練に合いながらも、幸せに向かっていく予感がした。
◎ターザン役の岸部一徳さんの荒れた手元や、歌わない川中美幸さんが良かった。
大森青児監督/104分/2016年
★今週のオススメ映画
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』金子由里奈監督/109分
京都のとある⼤学に入学した男子・七森(細田佳央太)と女子の麦戸(駒井蓮)は偶然に話すようになって、ひょんなことで「ぬいぐるみサークル」に見学にいく。
部室には手作りのぬいぐるみがいっぱいあって、部員たちは自分の気に入ったぬいぐるみに向かって何か語りかけているのだ。お互いの言ってることが聞こえないようにヘッドホンをつけていた。
ぬいぐるみに向かって悩み事を言うより、相談する人いないの?と思ったが、人に相談するとかえって相手に迷惑をかけるのでは、と思っている「やさしい」人たちだった。
★ミッキーの毎日・映画三昧 http://mikki-eigazanmai.seesaa.net
映画好きが高じて年間500本以上を映画館、国内映画祭、試写室で観ている年金満額&後期高齢者のローバ・ミッキーです。週1回ほど映画を通していろいろな「人生&恋愛模様」を語っていきます。
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