ストレスの多いこの時期。
友人や家族、パートナー、彼とセンシティブな問題について話して、お互い意見が合わず、どんどん距離ができてしまっている…そんな経験はありませんか?
言いにくいことを言った時、ついつい喧嘩口になってしまった時、「あんなふうに言わなければよかった」「もっと自分の感情をコントロールすべきだった」と、後悔することも多いかと思います。
そんな時、どのように対策を取ればよかったのでしょうか?
キャリア&ライフ・コーチのビクトリアさんに伺いました!

◇感情が抑えきれないと洪水のようにあふれ出し、壁を作っていく
ジョン・ゴッドマン博士の研究によると、口論・ケンカなどの攻撃的なシチュエーションでの話し合いは、生理学的覚醒が高まると示されています。
この「洪水」状態に至ると、心拍数は1分あたり100ビート以降に上昇し、激しいストレスを感じ、他人の話を聞いて理解するキャパシティーが限られてきます。
この心の状態で、話し合い・発言をすると、後で後悔するような言動をとってしまう可能性が高くなります。
自分がこのような「洪水」状態になってしまっている時は、深呼吸などをして一時的に話を中断し、休息して自分の気持ちを落ち着かせることが重要です。
この「一時停止」を行わず、激しいストレスの「洪水」状態で話を進めると、話が思うように展開せず、この状況から脱出したい一心で、どちらかが感情を停止・撤去する状態にすることで、感情の壁を作ってしまいます。
相手と話し合うことすら、面倒くさい・腹立たしいという状況のため、壁はどんどん石のように固くなり、気づけばソーシャルディスタンスができてしまっています。

◇それでは、壁を作らず、センシティブな問題を話し合うにはどのようにすればよいのでしょうか?
<自己鎮静>
自分で自分の感情を鎮静する。感情が高まった時の解毒剤と思ってください。
動揺して、息が止まっていませんか?
ゆっくりと呼吸し、自分の気持ちを確認してみましょう。
別の部屋にいって気持ちをクールダウンさせたり、外に行って散歩をしたり、気分転換をしてみてください。
ゆっくりとお茶を飲んで、時間をかけて味を確かめてみる。
好きな音楽を聴いてみるのもよし。
イライラしてしまった問題について考えないようにしましょう。
感情が落ち着いた状態に戻るまで、少なくとも20分かかると言われています。
ゆっくりと深呼吸をして、緊張した筋肉をリラックスさせましょう。

<アクセプタンスー感情を受け入れる>
アクセプタンス&コミットメントセラピー(スティーブン・ヘイズ博士によって開発されたセラピー)は、「アクセプタンス」(受け入れること)の概念を分かりやすく説明しています。
「アクセプタンス」とは、不快な感情、感覚、衝撃を受け入れる意欲を意味します。
こういった感情と戦うのではなく、これらの状況を受け入れるということです。
アクセプタンスは「あきらめ」のように聞こえるかもしれませんが、そうではなく、不安やストレスを引き起こす要因と戦わないというチョイスをするということです。
イライラするだろうという気持ち・感情を、会話を始める前に受け入れる準備をすることで、他人の気持ちや視点をきちんと聞くことができる、心の空間を予め作っておきます。

<境界線を設定する>
問題点において会話が上手く進まず、自分の感情を抑えてしまい、壁を作ってしまう。
そんな状況に至らないためにも、あなたがどんな人で、どのように扱って良いか・悪いか、境界線をつけることが大切です。
相手が無礼な態度をとった場合は、あなた自身の心に負担がかかってしまいます。
そのため会話を終了したいと思うでしょう。
そのような場合は、本来は会話を続けたいけれども、個人的な攻撃を受けたくないことをはっきりと相手に伝えましょう。
相手の攻撃的な態度が変わらない場合、一時的に会話を中断したいことも伝えてみてください。

このところ、なんだか心のソーシャル・ディスタンスができてしまった。
そう感じた場合は感情をリラックスさせ、不快な感情をある程度受け入れる準備をし、自分の境界線を相手にきちっと伝えてみましょう。

ビクトリアさん
ヨーロッパやアメリカでの仕事経験を持つパワフルなアラフィー。
自身の離婚と同時期に失業。
癌の闘病生活をしながら、シングルマザーとして再就職。
その経験を世界中の女性とシェアし、勇気づけたいというモチベーションを基に、タイムマネージメントや目標マネージメント、ライフマネージメントをベースにしたコーチング事業をスタート。
現在、有名ビジネススクールで講師・コンサルタントとして勤務。
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