第7回 女性のヘルスリテラシー向上を目指して
自分の専門家は自分
ドクターや医療・健康の専門家は医療や健康について知識をもっていて、いろいろ教えてもらうことも多いです。
例えば頭痛で受診して、この薬飲んでください、といわれて痛みがなくなった!という経験、誰しもあるかなと思います。
でも、セカンドライフ世代には、ぜひ自分のことを良く知って、自分なりの方法を探していってほしい。
自分の生活のこと、何を大切にしているかをいちばん知っているのはもちろん自分自身。
そして、自分の心と体のことがいちばんわかるのも自分自身なんです。
更年期の症状に運動がいいよ、といわれても運動に抵抗がある方もいます。
食事で調整するようにしたら簡単にできるかもしれません。
いろいろな不調がでてきたときにどの不調を優先して改善したいのか、これもその方のやりたいこと、生活によって異なります。
そして生活のどこで取り組むようにすれば続きやすいのか、そういったことをご自身で考えながら情報を集めながら自分が何に取り組んでいくか決めていく、これが大切です。
そしてその取り組んだことの効果がどうだったのか、継続すべきなのか、これも実は自分の中に答えがあるのです。
価値観や生活が医療やヘルスケアの選択にも重要に
ちょっと前は、医療の選択といえば医師などの医療関係者が治療方針を決めるという時代でした。
というのも、病気の種類が「急性期」と呼ばれる一刻を争い、でも基本的には薬や手術などで治るものだったからです。
例えば赤痢やコレラ、結核に代表される感染症や、虫垂炎や気管支炎といった炎症性の病気の場合です。
こういった病気は、急激に病状が悪化しますが、病気となる原因が明らかで、薬を飲む、または手術で病気の原因を取り除けば治ります。
でも今はどうでしょう?感染症は予防ワクチンや予防薬が増え、世界保健機構(WHO)によれば、世界中の死亡の原因の7割は慢性疾患といわれています*。
慢性疾患の代表例としては生活習慣病である糖尿病、高血圧、そしてがん、心臓病、などがあげられます。
慢性疾患を治療するときには、よりご本人の価値観や生活状況を含めて考えることが大切です。
例えば糖尿病の方、もちろんお薬もありますが、食生活の改善も重要になります。
食事指導は病院でされますが、でも守れない方がほとんどだそうです。
以前会社員として働いていた時に印象的だったことがありました。
ドイツのドクターが来日するときにお手伝いをしていたのですが、そのドクターは糖尿病をお持ちで治療中とのことでした。
でも甘いものが大好きで、日本でもうれしそうに食べています。
きいてみたところ、インスリンポンプでお薬を使いながら、食べたいものを食べているとのこと。
糖尿病だからと一律に食事を我慢するのではなく、その方が食事を重要と考えるのであれば、薬を使って自分の体調をみながら食べるのもありなのです。
このように慢性疾患は生活や生き方に直結していますので、ご自身が自分の専門家となって、医療の専門家から情報をもらったうえで、どのように病気とつきあっていくのかを選んでいくことが大切なんですね。
年齢を重ねていくと、こういった普段の生活と直結した不調もふえてきます。
そのときにどうしたいのか、を決めるのもご自身なんです。
自分自身の専門家として、自分の人生を歩めるように自分と向き合っていきましょうね。
株式会社ジョコネ。代表取締役。
グローバル医療機器メーカーにて10年以上マーケティングのキャリアを積み、自身の経験から女性のヘルスリテラシーをライフワークに研究、活動を展開。
NPO法人女性医療ネットワーク理事、聖路加国際大学大学院にて女性のヘルスリテラシーの研究中。
早稲田大学理工学部卒業・修了。
著書:『女性がイキイキと働き続けるためのヘルスリテラシー』(セルバ出版)
・北奈央子さんのTwitterはこちら
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