第6回 女性のヘルスリテラシー向上を目指して
社会の「いい女性」にふりまわされがち
私はよく、「あまり料理が得意じゃなくて」という言葉を使ってしまいます。
これは、「女性は家で料理をするから、得意でしょ。」という社会からの一般的な期待があるから私はそういう言葉を発してしまうんですね。
実は「いい女性」像は世の中にあふれています。もちろん「いい男性」像もです。
これは性役割意識と呼ばれ、実は研究や調査も多く行われてきています。
「男らしさ」と「女らしさ」とは?
「人は女に生まれない。女になるのだ」(ボーヴォワール)という言葉があります。
生まれながらの生物学的な性別=セックスはありますが、「女らしさ」は生まれてからいつの間にか身に着きます。
例えば私の娘も、生まれた当初は着る服の色だって、ふるまいだって、何が「女らしい」かなんて知りません。
でもいつの間にか2歳ごろから「女の子だからピンクでひらひらがいい」「男の子は強いんでしょ」というようになりました。
母親である私はできるだけ言わないようにしていましたが、他の大人、家族や保育園で接する人からのインプット、そしてお店やメディアでの扱われ方がいつの間にか身についています。
子供用品店の洋服売り場は必ずといっていいほど、「女の子用」「男の子用」でわけられていて、なんでだろうと思うくらいです。
では「女らしさ」ってどんなものがあるのかみてみましょう。
男らしさ、女らしさを表す言葉として挙げられた言葉です。どうでしょう?
あなたやあなたのパートナーはどのくらい当てはまりそうですか。
そして当てはまりたいと思いますか?
先ほどの料理の例でも、この女らしさにあてはまる女性が現実の女性とは異なるということです。
社会がつくっている理想の女性像なだけで、女性たち自身がこうありたいと思っているわけではありません。
しかし女らしさのキーワードは「従順な」「忠実な」「だまされやすい」といった人に従う女性像がみえて、なめるな!と思いません?
** Bem Sex Role Inventory日本語版より
「いい女性」じゃなくていい
私は、女性のヘルスリテラシーの研究の一環で女性の健康に関する活動をする団体の方にインタビューをさせていただいたことがあります。
その際にでてきた内容として、「社会で理想とされる女性像に自分ははまらなくていいんだ」と気づくことが大切だとでてきました。
女性は家庭にいないといけない、家族のために家事を完璧にしないといけない、子供を産まないといけない、そして最近は仕事も続けないといけないと、子供のころからなんとなく自分の頭に入ってきている「女性はこうでなければ」という女性像に苦しんでいます。その女性像にはまろうとして、自分を押し殺してストレスを抱えたり、上手にできなくて自己嫌悪に陥ったりするのです。
あなたはあなたらしくていいのです。
料理ができなくても、子供を産まなくても、家事が適当でもいいのです。
そしてそれを自分で受け入れること、それがとても大切です。
北奈央子(きた・なおこ)
株式会社ジョコネ。代表取締役。
グローバル医療機器メーカーにて10年以上マーケティングのキャリアを積み、自身の経験から女性のヘルスリテラシーをライフワークに研究、活動を展開。
NPO法人女性医療ネットワーク理事、聖路加国際大学大学院にて女性のヘルスリテラシーの研究中。早稲田大学理工学部卒業・修了。
著書:『女性がイキイキと働き続けるためのヘルスリテラシー』(セルバ出版)
・ジョコネ。SNSアカウント:Facebook /Instagram
・北奈央子さんのTwitterはこちら
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