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第8回・国際中医師・森文見(モリアヤミ)さんによる薬膳四方山話


春もそろそろ終盤。

5月病などと言い、4月に生活の変化があったりすると

少しずつ疲れが溜まり、緊張が身体に表れそれが心に影響して来やすい季節です。

今回は「漢方薬の生薬でもあり食材でもあるもの」を具体的に紹介させて頂こうと思います。

誰でも手に入れられるものです。

献立を考える時に体調に合わせて是非参考にして下さい。

生薬名も合わせて記載します。


①精神を落ち着かせる食材

牡蠣(牡蠣・ボレイ)、小麦(小麦・ショウバク)、なつめ(大棗・タイソウ)、百合根(百合・ビャクゴウ)


小麦はふすまつきのものですト。小麦ふすまのシリアルなんかもお手軽です。

牡蠣はお料理も良し、缶詰なんかで手軽に摂取しても良いですね。

なつめは薬膳料理に欠かせない生薬ですが、お料理はちょっと・・・と言う人は

なつめのお菓子が色々あります。輸入食材屋さんやネットで探してみて下さい。

百合根は日本ではあまり年中売っていませんが、茶わん蒸しだけでなく、炒め物やスープにも使いやすいです。



②「気」が足りなく、疲労倦怠感、元気がない人へ気を補う食材

なつめ(大棗・タイソウ)、山芋(山薬・サンヤク)、蜂蜜(蜂蜜・丸剤の作成に使用)


山芋はどの様な体質の人が食べても弊害がなく、冷蔵庫常備を強くお勧めします。

疲れが溜まっている時は毎食とろろを小鉢で付けても良いですね。

蜂蜜はなんにでも使えます。朝のパンに付けたりお料理の味付けにも。




陳皮/マイマイカ



③「気」の動きが悪くイライラや月経前症候群などに「気」を巡らせる食材

みかんの皮(陳皮・チンピ)、ハナマスの花(玫瑰花・マイカイカ)、きんもくせいの花(桂花・ケイカ)


陳皮は熟した温州みかんの皮を干して少し古くしたものですが、みかんの皮は干してとっておくと良いです。

お茶に砕いて足せば良い香りですし、お風呂に入れるのも良いですね。

もし青い状態の温州みかんが手に入れば青い状態の時の皮は作用がもっと強くなります。

どちらも天日干しして瓶にストックすると立派な生薬となります。

玫瑰花と桂花は薬膳茶に定番の生薬です。見た目も香りも綺麗なので烏龍茶などに混ぜて飲んで下さい。


フェンネル



④冷えが気になる人へ温めたり「陽気」を助ける食材

胡桃(胡桃肉・コトウニク)、シナモン(桂皮・ケイヒ/肉桂・ニッケイ)、ナツメグ(肉荳蔲・ニクズク)

クローブ(丁香・チョウコウ)、八角(大茴香・ダイウイキョウ)、フェンネル(小茴香・ショウウイキョウ)

よもぎ(艾葉・ガイヨウ)


冷え性の人は胡桃を毎日1粒ずつ食べてみて下さい。料理にも色々使えます。

スパイス類はどこでも手に入ります。紅茶を飲む時にシナモン、お肉料理にクローブ、中華料理に八角、

カレーのスパイスにフェンネル、よもぎはお茶として飲めばOK。



なつめ


⑤血を補う食材

なつめ(大棗・タイソウ)


またなつめが出て来ました。と言う事はなつめは、精神を落ち着かせ、「気」を補い、「血」も補う

と言う事です。ストックしておかない手はありません。



⑥ドロドロ血防止、血を巡らせる食材

ターメリック(姜黄・キョウオウ)、紅花(紅花・コウカ)、サフラン(番紅花・バンコウカ)、桃の種(桃仁・トウニン)、山査子(山査子・サンザシ)


ターメリックを使用してスパイスカレーを作って下さい。ターメリックライスなどわたくしも薬膳茶カフェのメニューでお出ししてます。

市販のウコンドリンクなどは実はこのターメリックを使用しています。サフランはお高いので、紅花で代用出来ます。

桃の種は実を食べたら種を洗って干して瓶にストックすればいつでも煎じる事が出来ます。

山査子は前回の薬酒の回で出て来ましたね。甘酸っぱい美味しい実です。薬膳茶で。



⑦潤い不足の人、火照り、「陰」を補う食材

クコの実(枸杞子・クコシ)、百合根(百合・ビャクゴウ)、胡麻(胡麻仁・ゴマニン)、黒豆(黒豆・コクズ)


クコの実は潤いも補い、男性の精力も補い、元気も補います。アンチエイジングの重要な生薬です。

百合根がまた出て来ました。空咳が続く人にも良いです。

胡麻はどんなお料理にも使えますので常備。特に便秘の人にもいいです。黒豆はお菓子もあるし、黒豆茶や煮物、

これもアンチエイジングの食材でもあり生薬でもあるものです。



緑豆



⑧浮腫みなど体内のいらない水を追い出す食材

小豆(赤小豆・セキショウズ)、はと麦(薏苡仁・ヨクイニン)、冬瓜の皮(冬瓜皮・トウガンヒ)、西瓜の皮(西瓜皮・セイガンヒ)

とうもろこしの髭(玉米髭・ギョクベイジュ)、緑豆(緑豆・リョクズ)


小豆は乾物の豆から茹でるとそのゆで汁は煎じ薬となります。小豆粥もいいですね。

はと麦は水は出すわ肌荒れは治すわで美容にかかせない生薬です。わたくしはスープにしていつも飲んでいます。

冬瓜の皮は実を食べたら小さく切り干してカリッカリになったものを瓶にストックしています。利尿作用が凄いです。

熱冷ましにもなるので夏バテ予防に翌年にとっておきます。とうもろこしの髭も同じく茶色くなるまで干して、麦茶に入れたりして

梅雨から夏の間、体内の余分な水を出してくれます。

西瓜は実も皮も”天然の白虎湯(ビャッコトウ)”と言われるくらい、夏バテ防止の漢方剤薬に勝るとも劣らない効能があり、いわゆる熱中症対策の薬となるものです。

緑豆は大変リーズナブルなお豆で、スープ、お汁粉、茹でてなんにでも使えます。



⑨身体の余分な熱を取り除き解毒的な作用もある食材

どくだみ(魚腥草・ギョセイソウ)、たんぽぽ(蒲公英・ホウコウエイ)、緑豆(緑豆・リョクズ)


どくだみはどくだみ茶としてどこにでも売ってます。たんぽぽは根っこの事ですがこれもタンポポ茶として売ってます。

緑豆がまた出て来ました。体内の余分な水を出し、清熱し、解毒となりますので「出す」生薬です。

全て清熱作用が大変強いものですので、たんぽぽと緑豆は下痢をしている時は避けて下さい。



食事の内容が身体をいかようにもする、といつも書いていますが

食事は毎日の楽しみでもあり、精神を豊かにすることにもつながります。

是非実践して体調がどう変わって行くかを感じて頂ければ嬉しいです。

そして体調に注目しているその行動だけで、身体のバランスを取る事がだんだん上手くなります。

参考にして下さい。




森 文見(モリアヤミ)

国際中医師(国際中医専門員A級)

国際中医薬膳師

中医薬膳茶師

北京中医薬大学日本校卒(現・日本中医学院)

薬膳食材・薬膳茶のCharming Shop店長

講師業


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