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第2回・国際中医師・森 文見(モリアヤミ)さんによる、薬膳四方山話


気持ちの良い季節です。地の気に沿い、ゆったりと過ごされていますでしょうか。

少しずつ気温も下がり暦の上ではもう立冬。

おでんやお鍋、シチューやスープが食卓に並ぶ様になりますね。

薬膳料理界も得意の季節です。


今月は女性の更年期障害についてのお話です。


ホットフラッシュや動悸、抑鬱感、イライラ、肩こり、頭痛、倦怠感など酷いと寝込んでしまう方もいます。

西洋医学的には閉経前後のエストロゲン低下のホルモンバランス大荒れ台風によるもので、

男性ホルモンはどちらかと言うと変化が緩やかです。


中医学ではどう捉えるでしょうか。


約2500年前の古典 黄帝内経 には、女性は7の倍数に節目があるとされ

2×7=14歳の時に 天癸(てんき)に至る (月経が始まる)

途中省略 

7×7=49歳になると、天癸が尽き、月経が停止し子供が産めなくなる

とあります。


「天癸」とは ホルモン の様なもので、

生まれる前から大切にストックされている”腎精(じんせい)”から成り、それは成長や発育、生殖に関わる大事な「物質」と考えられています。


人生が進む過程で腎精はどんどんと消耗されていくわけです。これが更年期障害の元です。



年をとって行くと何もかもが虚してゆき(減ってゆき)、不足が大本原因となる為、補う事が大半の作戦になって行きます

中医学では陰陽のバランスを真ん中にいかに近づけ調和させるかを全ての疾患に行います。

腎精には腎陰 と腎陽 があり

陰は潤し、滋養し、冷まし、体液の根本

陽は温め、動かし、体内の活動の根本


一体なにをどうすれば良いのでしょうか。

”腎精が消耗される” と言う行動を上げてみましょう。


食べ過ぎ

ダイエットのし過ぎ

お酒の飲み過ぎ

内容の悪い食事

長期間の睡眠不足

予定パンパンで休みがなく過労、更に頑張る

怒り過ぎる、興奮し過ぎる、布団の中でも考え込む、悲しみをずっと引きずる、恐怖の中にいる

ホットヨガやサウナなどが好きで汗をかきすぎる

性生活の過多


これら全て腎精消耗の加速要因です。

勿論人によってダメージの深い浅いはあります

日常生活の不摂生と言えば簡単ですが一つ一つにメカニズムがちゃんとあります。

例えば性生活のし過ぎ、は主に 陰 を傷つけます

更年期障害の症状が重く、徐々に酷くなる一方の人はどんなお薬を飲んでも日常を正さない限り薬の効果は最大限に生かされません


特に感情に関しては 誰かになんとかしてもらうのを求めるものではなく、

自分の”平”を保ち、人にコントロールを任せる事ではありません

逆に肉体も整っていないと更に感情は極端になって行き悪循環です。



更年期は誰もが通過する当たり前の生理です

そうなるのが当たり前、と前提し、少し気を付けると酷い事になりません。


ドラッグストアで買えて病院でもポピュラーな漢方薬では、

40を過ぎた辺りから、六味丸(六味地黄丸・ろくみじおうがん)を時々摂取するのも 陰 の補いに良いでしょう。

のぼせ予防です。

冷えが気になる人は八味丸(八味地黄丸・はちみじおうがん)、六味丸に 陽 も補うものもプラスした漢方薬です。

ただ、女性はどちらかと言うと火照りやのぼせが多いでしょう


よくある、のぼせて、しんどく、イライラが酷い人は下痢がなければ加味逍遥散(かみしょうようさん)は多くの身体症状によく効きます。それらを和解、解いてくれるような 内容物です。


肩こり、首こり、が辛い人は有名な葛根湯を飲んでみても良いでしょう。葛根湯は感冒だけの剤薬ではありません。


漢方薬がなんとなく胡散臭く思われるのは、あれにも効くしこれにも効く、と色々な症状に対応するためですが

そもそも、頭痛に効くのはどれ?とか、不眠に効くのはどれ?といった考え方ではない為です。

頭痛の原因は沢山あり、不眠の原因も沢山あり、原因が中医学的に同じだった場合、

頭痛の人と不眠の人が同じお薬を使用したりします。症状=薬決定 ではないからです。


感情のアップダウンが激しくすぐに涙が出たり、憂鬱になり、眠りも悪く、甚だしく回りから見ても感情表現がおかしい、

などの人は甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)を試してみても良いです。


元気が出せず、動悸がしたり、疲れやすく、眠れず、食欲がない場合は帰脾湯(きひとう)を飲んでみても良いです。



他にも一人一人に対して色々な作戦にのっとった漢方薬はありますが、何れにしよ、余り更年期だからと落ち込まず、

タスクを減らしゆったりと毎日をすごし、良いものを適量まんべんなく摂り、歩き、気の合う人と交流し、睡眠を大切にし、漢方薬の力を借り試してみる、苦く美味しくないですが効果は2週間程飲んでみて判断すると良いです。


用量を守り、自己判断で複数の薬は同時に飲まない、疾病を持っている人は病院で相談

自然界の材料です、アレルギーなどには注意をして下さい。


次回はお料理のお話を致します。




森 文見(モリアヤミ)


国際中医師(国際中医専門員A級)

国際中医薬膳師

中医薬膳茶師

北京中医薬大学日本校卒(現・日本中医学院)

薬膳食材・薬膳茶のCharming Shop店長

講師業


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