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その口癖…あなたもインポスター症候群になっていませんか?

Updated: Feb 15, 2023

第3回 キャリアカウンセラー山口奈生(やまぐち・なお)さんによるハッピーコラム♡

こんにちは、キャリアカウンセラーの山口です。

2023年は皆様どんな気持ちでスタートされましたか?

毎年この時期になると、「あ!年始に、今年は〇〇な年にしようって思っていたのに…すっかり忘れていた!」と慌てて気持ちを引き締めるのは私だけではないと思います。

さて、今回のコラムのテーマは「インポスター症候群」

女性に多い精神的状況と言われており、自分の実力を過小評価し、自分の昇進や成功が過度であると感じるなどして、周りをだましていると思い悩むことです。

キャリアカウンセリングの現場では頻繁に目にする事例です。

具体的な事例でご説明しますね。

ある40代の女性Aさんは、「特に強みもないので、今後のキャリアが見えません」と将来の不安を相談しにいらっしゃいました。

ところがAさんに仕事の内容を詳しく聞いていくと、カスタマーサービス部門のリーダーをしており、常に100人以上のスタッフを束ねて働いているとのこと。

すでに10年以上のキャリアを持ち、新規コールセンターの立ち上げから、機材の設置、人材の採用・育成、災害時の対応マニュアルの作成…など幅広く経験してきました

それにもかかわらず、「私は、コールセンターの仕事『しか』できません」「コールセンターの仕事をしたいという人がいないから、私が昇進した『だけ』です」とおっしゃるのです。

まさに、インポスター症候群であると感じる事例でした。

極端な事例だと思った方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、例えばこんなことを自分に対して感じたことはありませんか?

・私がワーキングマザーだから、会社が「女性活躍」の事例を作るために昇進させたのかもしれない。

・実力もないのに周りから頼りにされているのがプレッシャー。もっと頑張らなきゃボロが出る…

・私がこうして働いていられるのは〇〇さんのおかげで、自分は運が良かっただけ。

仕事で成果を収め、評価されているのにもかかわらず、自分自身を過小評価してしまい、真実が見えなくなってしまう

こんな風に自分に対して感じたらインポスター症候群に陥っている可能性があります。

一般的には、インポスター症候を発症する原因は、

・子供のころから「個性」よりも「同調」が大事と教育されてきた

・常に優劣を比べられる環境で育ってきた

・「女性は女性らしく、控え目であるべき」という価値観の人が多い環境で働いている

などの長年の環境要因によるものと、

・完璧主義であるため、他者の期待に全て応えることができない自分には実力がないと考えてしまう

・他人の感情の変化を敏感に察知してしまい、他者の期待を裏切ったら落胆されると考えてしまう

・評価されて妬まれた経験から、評価されることで孤立するとおびえてしまう

本人の性格特性によるものがあり、簡単に解消できるものではありません。

さて、もし自分がインポスター症候群に陥っているとしたら、どうしたらよいでしょうか。

先ほどご紹介したコールセンターのリーダーを務めているAさんの事例でご説明します。

Aさんに対して、私が「強みがないとおっしゃっていましたが、今までに、仕事ぶりに対して低い評価を付けられたことはありますか?」と尋ねると、「ありません。大体、毎年平均的な評価か、平均より良い評価をいただいています。」と答えてくれました。

次に、「コールセンター関係の仕事でAさんに『できないこと』はありますか?」と尋ねました。

すると、Aさんはしばらく沈黙して考えた後、「…ありませんね。コールセンターのことなら何でも一通りのことはできます。」とハッとしたような顔をされていました。

さて、インポスター症候群から抜け出すためのポイントにお気づきになりましたか?

さっそくまとめていきましょう。

<インポスター症候群から抜け出すためのポイント>

1. 事実と思い込みを切り分ける

「自分には実力がない」ということが、何かのデータや評価に裏打ちされた正確な事実なのか、それとも自分がそう思いこんでいるだけなのかを確認しましょう

事実をしっかり認識することで、自分の今の心の状態を知ることができます。

2. 謙遜をやめて「ありがとう」を伝えよう

特に日本では、謙虚に振る舞うことが求められます。

評価されたときに「いえいえ、私なんてまだまだです。」「周りにサポートいただいたからです」「今回は運が良かっただけです」などと言っていませんか?

そのようなネガティブな言葉は癖になります。

褒められたときは、「ありがとうございます」「〇〇さんにそう言っていただけると嬉しいです」とポジティブな言葉を使うように心がけましょう。

言葉の一つ一つが少しずつ自分をインポスター症候群から引き離してくれます。

3.自分に対する嘘をつくのをやめよう

言葉は相手にだけではなく自分の耳や心にも響いていますから、自分自身に謙遜や控えめな言葉を聞かせることは、自分に嘘を聞かせることと一緒なのです。

どうしても謙遜や控えめな態度をやめられない方は、他者に謙遜の言葉を伝えた後に自分にこっそり「私は頑張っている。素晴らしい。評価されてしかるべき」と伝えてあげてください

信頼できる誰かに「私は〇〇が得意!!」と語ってもいいでしょう。

インポスター症候群から抜け出すのは容易ではありません。

しかし、自分のエネルギーを押しとどめて生きるのか、それとも、もっと自由に軽やかに生きていくのかを選ぶのは自分自身です。

そしてそのための一歩は決して難しいものではありません。

まずは今ここで「私は素晴らしい!」と口に出してみませんか?

山口奈生(やまぐち・なお)

1982年岩手生まれ。

学校卒業後、損害保険会社にて営業や社員教育部門を経験したのち、配偶者の留学に伴い米国へ。

帰国後2014年に国家資格キャリアカウンセラーを取得し人材紹介会社転職。

これまで大学生から社会人まで広くキャリアカウンセリングを対応。

2017年に配偶者の転勤により再度、米国に引っ越した後に、人材系ベンチャー企業にて新規事業立ち上げを経て、翌年2020年7月ワタシル合同会社を設立。

*ワタシル大学Instagram:https://www.instagram.com/watashiru_college/

*ワタシル大学Twitter:https://twitter.com/watashiru_cl